北のしょうが家について

北生姜

東北、岩手でしょうがを栽培
育てることは出来るのでしょうか?
本来生姜は暖かい地域で育つ生姜
日本では、高知や九州が有名です。
本場から遠く離れた東北の岩手県。
奥州藤原氏で有名な奥州市江刺で
2020年から栽培を開始しました。

何故生姜?

長く厳しい東北の冬。そんな土地で多くの人に喜んで使っていただけて体に良い食材を探しました。そこで行き着いたのが生姜だったんです。
米の価格が下落する中、それに変わる生産物を作ることも急務でした。

良いのに何故?

冬期間に体を温めると言われる食材は生姜。にもかかわらず栽培する農家は非常に少ないのです。冬に体を温められる食材を近くで生産して提供できないか考えたのが始まりでした。

栽培条件の調査

生姜の栽培条件は、高温多湿であること、水はけが良すぎる土は適さない。適度な水分保持が出来、粘度質な土が好ましいとのこと。

生産日本一は高知

生産量ランキング
1位 高知県22,200t
2位 熊本県 5,350t
3位 千葉県 3,840t
高知県の栽培環境を調べました。
大事なのは日照時間・降水量

奥州の日照と降水量

奥州市の日照時間

岩手県の日照時間は東北でも長い方であり、尚且つ奥州市はその中でも2000時間を超える地域でした。年間降水量で言えば、東北では一番低い降水量であるものの岩手県内で言えば比較的高いんです。

土の条件と標高

上小田代の土壌は粘土質であり、適度な水分保持も可能であったことから栽培に適している可能性がありました。また、栽培する上小田代の標高は200m。朝と昼の寒暖差が良い効果を生み出すことも期待できます。

生姜の品種検討

少し話は変わります。奥州市は文化遺産を数々生み出した奥州藤原氏のあった土地です。東北の地に築かれた黄金郷などとも呼ばれています。平泉には有名な中尊寺の金色堂があります。

黄金生姜

様々な品種を調べる中、『黄金生姜』という品種を見つけました。この品種は通常の大生姜に比べて調理中、色が変わりづらく鮮やかに黄金色が残り、尚且つ辛み成分(体を温めると言われる成分)ジンゲロールが通常より多いと言うではないですか!?
この品種の生姜を主体に2種類取り寄せて栽培する事としました。

北上山地の雪解け水

深い山から流れる川。北上山地の雪解け水を運びます。
上小田代ではこの川を水源に、田んぼや畑に水を引き込んで農作物を育てます。
栄養豊富な土ときれいな水で元気な生姜が育ちました。
標高が高いことによる寒暖差も良い効果をもたらし良く引き締まった生姜になりました。
地元で使っていただいた飲食店様から辛さの中に甘さがあると言う感想をいただきました。

生姜の栽培

生姜は刺激があるから虫や病気も少ない?
全くそんなことはありません。
虫も食べに来るし、菌に弱く雨が続きすぎると病気が広がってしまいます。
自然を相手にする簡単煮は出来ない農業の厳しさを感じました。

生姜を加工

生姜の辛み成分ジンゲロール、ショウガオール。それぞれの効果は違う物です。
生生姜:ジンゲロール 加熱生姜:ショウガオール
ジンゲロールを加熱する事でショウガオールに変成。
主な効果
ジンゲロール:血管を拡張させる。血行不良による肩こり頭痛、吐き気、絞り汁は乗り物酔い、二日酔い、つわり、免疫力の向上、胃腸、風邪、食欲不振
ショウガオール:血液凝固の抑制、血液を隅々まで行き渡らせる。その結果、体を内側からゆっくり温めるため冷え性に効果。

効果の高い加工

冷えに効果の高い成分はジンゲロールが加熱されて現れる『ショウガオール』。
ジンゲロールの変成にはちょうど良い温度で長い時間をかけて加熱する必要がありました。
一度加熱された出来たショウガオールは減ることはないと言うことです。
加熱を加える加工の検討を開始しました。

冬の生姜湯を知る

冬場『寒い寒い。』と言いながら、うちの祖母が生姜湯を飲んでいました。この生姜湯の素少し飲んでみるとなんだか薬のにおいが強い?だったら生姜が作れたら添加物の少ない物を作ってみようと考えました。使う素材は北にこだわり、甜菜糖と自社で育てた生姜を使用します。

加熱での問題

試作段階で長時間の加熱を加えると、生姜の風味がそれと共に減ってしまう事が判明しました。
ここから何度も何度も試行錯誤を繰り返し、風味を損なわない加熱時間と温度を見つけ出しやっとの思いで生姜の風味を生かした商品を作り上げました。

独自の加熱で
風味を生かした製品
が出来ました。

~北の生姜家~

生姜そのまま販売するだけでは無く、そだてた生姜を自社農園内の工房で加工。
農作物の生産から加工、パッケージまで。すべてを岩手県奥州市江刺内の農村で行います。
『北の生姜家』は『北で生姜を育てる農家』から来ています。
上小田代のブランド名として名付けました。
北の生姜家 上小田代では
農産物を直接個人のお客様に。お客様を感じて商品を作る。
声を感じて作る事で生産農家が自ら栽培意欲を生み出す事を
目指しています。

~私について~

運送会社の配達員、営業、管理などを行う中で多くの事業者様と接してきました。産物が豊富な東北では、りんごであったりサンマであったり、うどん、蕎麦などたくさんの地域特産品があり多くの方々がそれに携わって働いていました。
それを見るうちに自分でもこの仕事をやってみたいと強く思うようになり、実家の農業を2021年より本格的に従事する事といたしました。
農業は夏と秋は商品があり収入がありますが、冬期間は仕事がなく収入もありません。
そんな農業でもやり方を変えれば仕事は生まれます。
冬の仕事として、栽培した生姜を保管しておいた物を加工。プロモーション、販売。
自分たちでも出来ることを探せば新しい収入は生み出せる。農業を変えられる。
ただ作った物を出荷するだけが農業では無い!もっといろいろなことが楽しめるんだ(^^)

自分で新しい物を作って、魅力を伝えて。農業は農業ではなくなります。

あたらしい農業の形、直接消費者とお話できる。それを基に成長できる農村を作るためにたのしんで取り組んでいます。

新生姜
9月下旬頃から
しょうがの粉
独自の加熱方法を検討し、加熱乾燥をして生まれたのが生姜の粉です。香り豊かな粉に仕上がりました。
生姜シロップ 通常 透明瓶
薬臭さのない生姜湯を祖母に飲ませるため完成した生姜シロップ。生姜の風味を生かす、そしてショウガオールを増やすため、生姜の粉を加えて作っています。辛みの強いシロップと通常品の2種類が出来上がりました。
こがね生姜しろっぷ 黒瓶
通常品比較で生姜使用量1.5倍 甘さ控えめ辛口のシロップです。